【2023年度版】-北の国・森林づくり技術交流発表会とは?概要や詳細・発表の感想について解説

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【2023年度版】北の国・森林づくり技術交流発表会とは?概要や詳細・発表の感想について解説

「北の国・森林づくり技術交流発表会ってなに?そもそも一般人も傍聴できるの?」
「どこで開催されていてどんな内容なのか知りたい」
こういった疑問にお答えします。

私は、2024年2月14日・15日に開かれる北の国・森林づくり技術交流発表会に傍聴者として参加してきました。

この記事でわかること

  • 北海道で開催される森林・林業関係の発表会内容
  • 2024年現在の林業に関する最新技術
  • 北海道で取り組まれている林業技術

また、実際に傍聴してみてわかったこと・疑問に思ったことなど感想についても書いています。

私の経験に基づく見解なども交えて書いているため、林業従事者の方にも有益な情報となっているかと思います。

詳しい情報や内容が知りたい方は、最後まで読んでみてください。

北の国・森林づくり技術交流発表会とは

北の国・森林づくり技術交流発表会とは

北の国・森林づくり技術交流発表会とは、林野庁主催による森林や林業に関する取り組み内容の成果発表・質疑応答を実施する発表会のことです。

毎年2月中旬頃に2日間、開催されているようです。

一般人も受付で名前を書けば、傍聴者として参加できます。

出合美羽
出合美羽

ですが、見た感じ森林管理署関係の傍聴者がほとんどで、私のようなライターはいなかったですね(笑)

主な発表機関は、以下です。

  • 農業高校
  • 森林管理署
  • 市町村役場
  • 森林研究施設

おそらく一般人が「発表したいです!」と手を挙げても、参加は難しいのではないかと思います。

ポスター発表があることも特徴ですね。

また、YouTubeでもLIVE配信を実施している模様。

そのため「傍聴する時間や出張する費用がない」という方には、ありがたいシステムです。

実施内容については、開催日が近くなると公式サイトにて掲載されます。

詳しくは「林野庁公式サイト」で確認してみましょう。

北の国・森林づくり技術交流発表会の概要|受付から始まるまで

北の国・森林づくり技術交流発表会の概要|受付から始まるまで

北の国・森林づくり技術交流発表会の概要については、下表を参照ください。

開催日時2024年2月中旬頃に2日間
開催場所北海道大学学術交流会館
(北海道札幌市北区北8条西5丁目)
開催時間1日目:10:00〜16:00
2日目:10:00〜16:05
(※受付開始時間9:30~)

入るとまず、受付で氏名や所属などの記入を求められます。

記入が終わると、関係する資料とアンケートが渡されます。

口頭発表の場所は2階の講堂です。(毎年一緒?)

時間になったら開始されます。

傍聴者は席や出入りが自由で、途中退席も可能です。

また、受け付けすぐ後ろの1階広場には、すでにポスターが貼られており自由に閲覧ができます。

開催時間について筆者の調べたかぎり林野庁の公式サイトに載っておらず、他のサイトを調べても結局わからりませんでした。

出合美羽
出合美羽

そのため「9:30にはもう始まっているだろう」と予測して行ったら、まさかの10:00開催でした(笑)

私みたいにならないためにも、電話で直接聞いてみましょう。

林野庁公式サイトに電話番号が掲載されています。

北の国・森林づくり技術交流発表会の詳細プログラム

北の国・森林づくり技術交流発表会の詳細プログラム

詳細なプログラムは、以下です。

■2024年2月14日(水)

プログラム時間
開会式10:00〜10:25
口頭発表
(森林保全・ふれあい・地域連携部門)
10:30〜11:45
口頭発表
(森林技術部門)
11:45~12:00
昼休憩12:00〜13:00
ポスター発表コアタイム
(一般部門)
13:00〜14:00
口頭発表
(森林技術部門)
14:00〜16:00
1日目の詳細プログラム

■2024年2月15日(木)

プログラム時間
口頭発表
(森林保全・ふれあい・地域連携部門)
10:00〜10:30
口頭発表
(高等学校部門)
10:30~11:15
ポスター発表コアタイム
(高等学校部門)
11:30〜12:00
昼休憩12:00〜13:00
特別発表13:00〜14:15
特別講演14:30~15:30
講評・表彰式15:35~16:00
閉会式16:00~16:05
2日目の詳細プログラム

メインとなるのは口頭発表とポスター発表なので、次に詳しく解説していきます。

口頭発表

口頭発表は、2階講堂で行われました。

主な発表内容については、以下。

  • 森林・林業
  • 林道
  • スマート林業
  • 人材育成
  • おもちゃ

など分野が幅広いです。

発表は15分間で、パワーポイントによるプレゼンテーション形式です。

発表が終了次第、質疑応答が始まります。

質疑応答では、講評者にくわえ一般の傍聴人が質問してもかまいません。

出合美羽
出合美羽

いかにうまく受け答えできるか、就活時の面接を思い出しますね・・・!

時間になったら質疑応答が終了し、次にといった流れです。

そして、2日目には部門ごとに受賞者が発表されます。

  1. 局長賞(最優秀賞)
  2. 局長賞(優秀賞)
  3. 激励賞

といった順番です。

ポスター発表

ポスター発表は、受付入ってすぐの広場に、1枚でまとめられたポスターが整然と掲示されています。

ポスター発表の時間前に見て回ることもできます。

内容は、

  • 森林環境
  • 動植物調査
  • 省力化の取り組み
  • 苗木
  • 虫害・獣害

など口頭発表と同様、多岐にわたります。

発表時間になったら発表者が各ポスターの前に立って、閲覧しにきた人たちに向けて詳細に説明していくスタイルです。

時間の許すかぎり、聞いて回りましょう。

2023年度の主な発表内容と感想

2023年度の主な発表内容と感想

2024年2月14日・15日の2日間行われたなかで、私自身が印象に残った発表を口頭発表とポスター発表にわけて感想を述べます。

【口頭発表】民国共用のストックヤード設置による民有林整備の推進支援について

発表者は、赤井川村と石狩森林管理署です。

これは、現場で切った木をそのまま積むのではなく、各市町で締結した共用のストックヤードへ運び出す取り組みといった形です。

ストックヤードがあることで出材木が運びやすくなり、入札に参加する事業者が増えるといった仕組みです。

ストックヤードによるメリットは、以下。

  • 現地の土場置場を考える必要がない
  • 小規模な間伐により運材できずに切り捨てとなってしまう事象が起きにくい
  • 天然林や低質材木も余すことなく搬出でき、環境に貢献できる
  • 林道を走行する必要がないため、ドライバースキルや車両の能力に左右されない
  • 一般的なトレーラーが乗り入れできる仕様としたことで、遠方からの入札参加者が期待できる

成果として、素材公売への入札参加者がR2年度で9社だったものが、R3年には15社へ増加しました。

一方で、現場からストックヤードへ運搬するコストはどれくらいなのか気になるところ。

運材費用は場所によって変わるため一概には言えないと思うが、参考となる数字があると良いと感じました。

これについては、審査者からの意見もありました。

現場ではできるかぎりの伐採木を回収、売買へとつなげることができます。

また、現場に残存木が残らないので、環境に良くその後の施業(地拵えや植栽)がしやすくなるなと思いました。

【口頭発表】多様な森づくりを通じた生物多様性保全への取組 ~保残木は大国産材時代の救世主となりうるか~

発表者は、空知森林管理署です。

こちらの発表は、天然木を残すことで鳥や虫の共存を図るといったもの。

それぞれ面積や立木本数の異なった調査地を5箇所ほど設けて、森林性鳥類とオサムシ科甲虫類のモニタリング調査を行いました。

この手の取り組みでいつも思うのは、枯れてるからこそ生きる虫もいるということ。

たとえば、絶滅危惧種に指定された動物は守るが木に被害を与える獣・虫に対しては居場所を失くしたり殺害したり、人間にとって有益ではない生物に対しては排除を考えてしまうもの。
共存とは人間のエゴなのではないかと感じてしまいます。

出合美羽
出合美羽

これを言い出したら、結論には至らないからここまでにしようと思います・・・。

気になった点は、周囲の木を切ってしまったことで保山木が露出してしまい、風で倒れないのか気になるところでした。

何年間かデータを採取していたのだから大丈夫なのでしょうが、このへんは私が聞きそびれた可能性がありますね。

【ポスター発表】「新しい林業」の展開に向けた機械下刈りの取組~リモコン式草刈機「RJ703神刈」・油圧ショベル用マルチャーの場合~

上川中部森林管理署のポスター発表です。

省力化や労働力軽減に向けて、新しい下刈り機械「RJ703神刈」と油圧ショベル用マルチャー(クラッシャ)を比較したものです。

下刈り機械は、実際に取り組まれている林業会社関係や森林組合には興味深い内容ではないでしょうか。

機械の使用感をメリット・デメリットで分けて比較しています。

それぞれのメリットは、以下。

神刈油圧ショベル用マルチャー
初心者でも操作しやすい伐根を粉砕できる
労働力軽減が見込める隣列の刈払が可能
労働安全の向上が見込める熱中症対策に良い
メリットの比較

一方で、課題としては以下がありました。

神刈油圧ショベル用マルチャー
急傾斜や障害物への転倒リスク重機オペレーターが必要
刃の摩耗や石の多い現場は不向き雨天時に走行が不可能
課題の比較

私の所感として、神刈は今後の作業の効率化・省力化という意味では良い取り組みだと感じました。

一方で、急傾斜では作業制限がかかるので、なかなか機械化が進みにくいようです。

出合美羽
出合美羽

私が勤めていた森林組合では、北海道内でもとくに山地が多い所だったので機械化は何よりの課題でした。

とはいえ、開発・改善が進まないとなにも変わらないままです。

少しずつ改良していって、現場にとってもっと有益な機械が開発されれば良いなと思います。

当面は、マルチャーの活躍に期待です!

まとめ|北の国・森林づくり技術交流発表会は北海道の森林の取り組みがわかる!

まとめ

本記事は以下を解説しました。

  • 北の国・森林づくり技術交流発表会の概要
  • 詳細プログラム
  • 発表会の感想

北の国・森林づくり技術交流発表会は、毎年開催されています。

北海道で取り組んでいる内容として、傍聴してみてはいかがでしょうか。

毎年、2月中旬の平日に開催しているようですが、案内があるまではわかりません。

時期が近くなったら、林野庁のホームページにて調べてみてください。

林野庁公式サイトへ

傍聴で参加した私も現在の林業について、取り組みが理解でき、非常に勉強になる内容でした。

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